豪華すぎる巨匠たちの競演『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展』


ワシントンナショナルギャラリー展
国立新美術館で開催されている『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展』を見てきました。
マネ、モネ、セザンヌゴッホ、スーラ、ルノワールドガ。誰でも名前くらいなら聞いたことのあるような、印象派・ポスト印象派の巨匠たちの名作がずらっと並んでいたのは壮観でした。
以下気になったものをいくつかピックアップ。

エドゥアール・マネ『鉄道』

こちらをじっと見つめる女性。あちら側を見つめる少女。
少女の視線の先には鉄道があるのだろうと題名から推測できますが、蒸気がさえぎっていて少女が何を見ているのかはっきりとわかりません。
不穏さを感じる真っ黒な鉄格子、右側に置かれたぶどう。なぞめいた魅力のある作品です。

クロード・モネ『日傘の女性、モネ夫人と息子』


見た瞬間、なぜか泣きそうになってしまいました。
きっとモネは、自分の最も幸せな瞬間を切り取ったのでしょう。

メアリー・カサット『青い肘掛け椅子の上の少女』


目が覚めるようなコバルトブルーの色使いが展覧会場でもひときわ目立っていました。
メアリー・カサットという画家を今回初めて知りましたが、子供の最も子供らしいところをとらえる画家ですね。

ピエール=オーギュスト・ルノワール『アンリオ夫人』


人物と服と背景の境界がとけ合って、非常にやわらかい雰囲気の肖像画ですね。
ルノワールはこのモデルをたいそう気に入っていたらしく、彼女がモデルであろう作品がもう一つとなりに並んでました。

ポール・セザンヌ『『レヴェヌマン』紙を読むルイ=オーギュスト・セザンヌ


セザンヌの初期の作品。画家になるのに反対していたセザンヌの父の肖像画だそうです。ずっしりとした周りの背景や物に負けないくらい存在感のある姿は、父親から感じていたプレッシャーの表れなのでしょうか。
輪郭線をしっかり描き、ベタッとした筆使いと濃い色で仕上げた重厚な作風はルノワールの作品と正反対ですね。

フィンセント・ファン・ゴッホ『薔薇』


本展覧会のトリを飾ったのがこの絵でした。
優れた絵というのは非常にエネルギッシュですね。ゴッホにはエネルギーや生命力がそのままのかたちで見えていたのかもしれません。繊細で優美なバラもゴッホには単なる静物ではなくいきいきとした生物として見えていたのでしょう。エネルギーそのものである太陽や、太陽を象徴するひまわりに惹かれていたのもわかる気がします。



というわけで非常に内容の充実した展覧会でした。「これを見ずに、印象派は語れない」というコピーも大げさではないですね。ワシントン・ナショナル・ギャラリー展は9月5日までです。行くならお早めに!